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加齢黄斑変性の治療をとりまく環境について

黄斑変性症の改善とさまざまな手術方法について

加齢黄斑変性は、欧米では失明原因第1位となるほど恐ろしい病気です。近年日本でも増加傾向にあります。詳しくは「失明に至る加齢黄斑変性」の記事をご覧ください。ここでは、環境の変化や今後危惧される事柄をまとめました。

黄斑変性症の過去の治療法

黄斑変性は黄斑色素であるルテインの不足が引き起こすと考えられてから、ほうれん草などの緑黄色野菜を食事で摂る事が重要と考えられました。

20年程前は治療薬も注射も無く、現状維持のためにルテインを継続して摂ることが推奨されていました。

青汁

もっとも簡単に摂取できる食品として青汁が薦められましたが、簡単に摂取できるわりには味などが理由で患者さんが続ける事は意外に大変でした。

サプリメント

青汁よりも簡単に摂取できるものとしてサプリメントを奨めましたが、日本では「ルテイン」という成分の名前すらも広く認知されておらず、サプリメントで手軽に継続して栄養を摂ることを診療中に根気よく説明していました。

現在の治療法

日本人に多い、失明率の高い滲出型黄斑変性に対して、現在では硝子体内注射が行われています。ただし、この治療は根治治療ではなく長い期間にわたって検査を続け、必要に応じて注射をする必要があります。

したがって発症のメカニズムを理解し、黄斑変性にならないように予防することが大切だと考えられています。

硝子体内注射

以前は設備の整った大学病院での治療でしたが、患者の増加や保険適用の薬が開発された事などから、大学病院以外の眼科でも行えるようになりました。注射については「黄斑変性に対する硝子体注射」の記事をご覧ください。

青色光について

青色光は波長が短く強いエネルギーを持ち、目に見える光(水晶体を通過する)なので網膜に達し黄斑部の視細胞を常に傷つけています。

正常な黄斑部では、ルテインが青色光を吸収し傷ついた(酸化した)細胞を修復しています。生活環境の変化に伴い青色光にさらされる機会も増えてきました。今後、予防のために青色光対策は必須となりますので、早めの対策を心がけましょう。

今後の傾向

加齢黄斑変性の発症を抑える薬の開発が待たれますが、現在開発中の薬は欧米人に多い萎縮型の特効薬。しかし、日本人に多い滲出型でも黄斑の下で新生血管が出血する前の段階でこの薬が使えれば、効果があるのではないかと思われます。

萎縮型黄斑変性について

アメリカでは、アキュセラインクという日本人眼科医が立ち上げた会社が特効薬を開発中です。一刻も早い日本での臨床応用が待たれます。

iPS細胞について

加齢黄斑変性が進むと元には戻らない網膜の障害が残ります。そうなってしまうと薬では治療のしようがなく二度と正常な視力には戻りませんが、今考えられている治療法としてiPS細胞の移植が既に日本で2例臨床応用されています。

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