網膜の中心部でおこる黄斑変性には、複数の検査を用いて症状を診断します。今回は加齢から引き起こされる加齢黄斑変性と、その検査方法についてご紹介します。
網膜の中心に位置する黄斑
まずは「黄斑」が眼のどの部分に位置するのかみていきましょう。眼をカメラに例えると、角膜や水晶体はレンズに、網膜はフィルムに該当します。
このフィルム部分にあたる網膜の中心部には、ものを視るための大切な細胞が密集しています。この密集部分が「黄斑」です。
黄斑部分が痛むこと=黄斑変性
この黄斑部分がさまざまな要因から痛んでくることを黄斑変性と呼びます。とくに加齢を原因とした黄斑変性のことを「加齢黄斑変性」と呼びます。
加齢黄斑変性の症状には、ものが歪む・視力が下がる・視野の中心部が暗くなるなど、その症状はさまざま。そのため、早期治療につなげるためにも、症状が進行する前の段階で検査をすることが大切となります。
加齢黄斑変性を診断する4つの検査方法
では、加齢黄斑変性を診断するためには、どのような検査方法が用いられるのでしょうか。4つの検査方法についてみていきましょう。
1.視力検査
1つ目の検査方法は、視力検査です。加齢黄斑変性の症状として、視力の低下は重要な診断材料のひとつ。一般的な視力検査をもとに、視力の低下がないかを判断します。
その際、以前の検査結果があると、症状の進行を確認するうえでの材料となります。眼科やメガネを新調する際に計測した視力のデータがあれば、参考として持参するようにしましょう。
2.眼底検査
網膜の黄斑部分を調べるために用いられるのが、眼底検査です。眼底検査では黄斑部分に出血やむくみがないかを検査します。
眼底検査は加齢黄斑変性はもちろん、その他の眼病を発見するためにも広く用いられています。定期的に検査をしておくと、眼病の早期発見に役立てることができるでしょう。
3.蛍光眼底造影
3つ目の検査方法は、蛍光眼底造影です。蛍光剤を含んだ造影剤を注射して、網膜部分の血管を詳しく検査します。血管に出血がある場合などは、出血箇所などを詳細に調べることができます。
4.網膜断層検査
造影剤を使うことなく、網膜の状態を詳しく調べることができるのが、網膜断層検査です。
光干渉断層計(OCT)という検査機器を使って調べることができ、網膜の断面の状態を検査します。血管の異常や位置などを正確に調べられることから、緑内障の検査などにも用いられます。
複数の検査で早期発見・早期予防に役立てる
加齢黄斑変性は加齢により誰でも発症することから、検査による早期発見が大切です。複数の検査を用いることで、病気を早く発見できれば、それだけ治療の選択肢やスピードが早くなります。
眼は生涯にわたって生活を支えてくれる大切なパートナー。だからこそ、日頃から眼の検査をおこなうことで、「早期発見・早期治療」に役立てるようにしましょう。