白内障は、家族に発症した人を見ると遺伝するものと思いがち。高齢者に多い加齢性白内障をみてそう思われることが多いようです。白内障と遺伝の関係について解説します。
白内障とは
白内障は眼の水晶体が濁り、視力の低下や視界がぼやけるなどの症状を起こす病気です。水晶体はカメラのレンズの働きをする組織。
健康な水晶体は透明ですが、加齢や紫外線などの影響でしだいに白濁してきます。また喫煙などの生活習慣も白内障の原因の一つです。
白内障と遺伝について
白内障には、後天性の加齢性白内障と、先天的な先天性白内障があります。加齢性白内障は加齢により誰でも起こりうる白内障で、ほとんどの白内障はこのタイプ。遺伝については、現在のところはっきりしたことは解明されていません。
先天性白内障は、生まれながらに水晶体が濁っている病気です。染色体異常、風疹などの子宮内感染、全身疾患などが原因で起こる病気で、遺伝もその一つと言われます。
先天性白内障について
先天性白内障は、生まれたときから水晶体が濁っている場合と、成長にともない水晶体が濁るタイプがあり後者は「発達性白内障」と呼ばれます。
遺伝性の先天性白内障は全体の20~30%と言われ、なかには原因が分からない場合もあり、両眼や片眼のケースがあります。
先天性白内障の症状
生まれた赤ちゃんの眼に少しでも濁りを感じたら、すぐに眼科を受診してください。特に両親や兄弟、親族に先天性白内障の人がいる場合は、遺伝の可能性があるので、眼に異常が無くても眼科の診断を受けることをお勧めします。
早い段階で先天性白内障を発見すれば、高度の弱視や斜視を防ぐ治療を施すことが可能です。主な症状としては、両眼性の場合生後10週目を過ぎたころから、眼振など眼の異常な動きが目立ってきます。
片眼性の場合は、生後3から4か月で、白内障の眼が斜視になる可能性があるので早急な手術が必要です。
先天性白内障の治療
先天性白内障の治療は、乳児期では水晶体と硝子体の一部を切除して、メガネやコンタクトレンズで矯正します。幼児期以降の白内障は、成人と同じく濁った水晶体を取り除き眼内レンズを挿入します。
この場合もメガネなどによる矯正が必要です。先天性白内障は合併症による異常や、緑内障、網膜剥離の危険性もあるので成人後も定期的な検査が必要になります。
また、先天性白内障の手術を受けた場合には、視力を維持するために、弱視訓練を受けなくてはなりません。乳児期は脳の視覚情報を処理する能力が完成していないため、訓練により「見る」ことで、視覚を発達させる必要があるためです。
白内障は遺伝の可能性もある
白内障が遺伝するかどうかは、完全には解明されていません。加齢性白内障は、加齢により誰でもかかる病気。しかし、まったく遺伝の可能性がないわけではありません。
先天性白内障の場合は、遺伝の可能性が高くなるので家族や親族に、同じ病気の人がいる場合は早急な検査・治療が必要です。
いずれにしても白内障の可能性が少しでもある場合は、眼科の早期の受診や定期的な検査を受けることが、眼の健康を守ることにつながります。