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脈絡膜新生血管とは

脈絡膜新生血管とは

脈絡膜新生血管は、加齢黄斑変性の原因の一つ。視力の低下や、ものが歪んで見える変視症を引き起こし、場合によっては高度の視力障害を残す原因になります。脈絡膜新生血管とはどのようなものなのでしょうか。

脈絡膜新生血管とは

脈絡膜新生血管は、通常は存在しない異常な新生血管が、黄斑部の脈絡膜から発生し網膜側に伸びてくるもの。新生血管は大変もろく、血液が黄斑部に滲出して機能障害を引き起こします。

新生血管の成長にともない、出血や滲出物の影響で視力の低下や、ものが歪んで見える、視野が欠けるなどの症状が出てくる病気です。

脈絡膜とは

脈絡膜とは、眼球を構成する薄膜の一つ。強膜と網膜の間にあり、眼球の後半部分を覆っています。瞳孔以外の光を遮る働きがあり、血管と色素細胞が豊富に存在し、眼球に栄養分を補給する重要な組織です。

新生血管とは

新生血管とは、既存の毛細血管が閉塞した場合に急遽作られる血管。大変もろいため血液成分が漏れやすく、破れやすい性質の血管です。眼では、脈絡膜から生じ、新生血管黄斑変性や滲出型加齢黄斑変性などを引き起こす原因になります。

脈絡膜新生血管が発生するメカニズム

脈絡膜新生血管は、メカニズムで発生するのでしょうか。

網膜色素上皮の機能低下

網膜の細胞は新陳代謝を繰り返しています。新陳代謝で生じる老廃物は、網膜色素上皮で消化され残ることはありません。

しかし、加齢などにより網膜色素上皮の機能が低下すると、消化しきれない老廃物が、網膜色素上皮と脈絡膜の間にあるブルッフ膜に溜まるようになります。

老廃物の排除過程で生じる新生血管

老廃物が溜まると、弱い炎症が発生。この炎症を抑えるためにケミカルメディエーターという化学物質の一種が生成され、細胞分裂や分化を刺激する血管内皮細胞増殖因子(VGEF)を放出。

このため、脈絡膜に新生血管が発生します。新生血管がブルッフ膜を突き破り、網膜色素上皮に達すると増殖をはじめ、出血や滲出による黄斑浮腫が起こり、視力にとって重要な黄斑部の機能が低下します。

脈絡膜新生血管の治療

発生した脈絡膜新生血管は、どのような治療が施されるのでしょうか。

脈絡膜新生血管が中心窩の外にある場合

脈絡膜新生血管が、黄斑の中心窩にない場合は、レーザー光線で焼き付ける、レーザー凝固を行います。脈絡膜新生血管の成長を止めることが可能です。

脈絡膜新生血管が中心窩にある場合

脈絡膜新生血管が黄斑の中心窩にある場合は、視力に直接影響するためレーザー凝固ができません。そのため、新生血管の発育を抑える抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)薬を使った治療が行われます。

また、光線力学療法という治療法があり、これは光に反応する薬を投与してレーザーを当て、化学反応により新生血管を閉塞する治療法です。その他、中心窩を移動する手術や、新生血管を直接抜き取る手術があります。

脈絡膜新生血管の早期発見で視力を維持

脈絡膜新生血管から視力を守るためには、早期発見が大切。脈絡膜新生血管が中心窩に伸びていなければ、視力の維持や改善が期待できます。

中心窩に達している場合でも、抗VEGF薬の投与など効果的な治療を早期に始めることが可能です。眼底検査などの眼の検査を、定期的に受けることが大切。

また、視力の低下や、物が歪んで見えたり、視野が欠けたりするような、気になる症状を感じたら早期に眼科を受診しましょう。

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