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加齢黄斑変性にはどのような治療法があるのか

加齢黄斑変性にはどのような治療法があるのか

加齢黄斑変性は、以前は治療法が確立されておらず、治らない病気とされていました。しかし、近年の技術の発達により、新しい治療法が確立されています。どのようなものがあるのか、最新の治療方法をまとめました。

加齢黄斑変性の種類

加齢黄斑変性は加齢によって引き起こされることが多く、誰にでも起こる目の病気です。以前はアメリカで多い眼病とされていましたが、近年、日本でも60歳以上の方に急増している眼病で注意が必要。

主な症状としては、視界がゆがんで見えたり、視界の中心部が欠けて見えたりします。ほっておくと急速に視力低下を招く恐れもあるので、早めの治療が必要です。加齢黄斑変性には、萎縮型と滲出型の2種類があります。

萎縮型

萎縮型は、網膜の細胞が老化して萎縮することで発生します。萎縮型の加齢黄斑変性は、比較的ゆっくりと進行するのが特徴。黄斑部の細胞が老化によって萎縮していくため、現在、有効な治療法はまだ見つかっていません。

医学的な治療法は確立されていませんが、予防のためにも、目によい栄養素を身体に摂り込むことが大事です。

滲出型

黄斑部の老廃物が網膜色素上皮の下に蓄積するため、毛細血管の血流が阻害されて新生血管という異常な血管ができます。

新生血管は通常の血管に比べて弱いため、出血したり、血液成分が滲み出たりして、視細胞の機能に障害をもたらします。それが滲出型の原因。

滲出型の加齢黄斑変性は、急激な視力低下や視野の欠けが起こることもあります。以前は根本的な治療は難しかったのですが、新しい技術により有効な治療法ができています。

加齢黄斑変性(滲出型)の治療法

滲出型の治療の目的は脈絡膜申請血管の拡大を抑えて退縮させること。今、注目されている最新の治療法をご紹介しましょう。

抗血管新生薬療法

滲出型の原因である脈絡膜新生血管。この増殖や成長は、血管内皮増殖因子VEGFが関係していると考えられています。このVEGFを阻害するための薬剤を、眼の中に注入して脈絡膜新生血管を退縮させる方法です。

この方法は視力のよいうちからでも治療が可能なため、早めの治療法として注目を集めています。

光線力学的療法

PDTとも呼ばれる治療法で、次の2段階で行います。

・光に反応する薬剤を、腕の静脈から点滴注射する
・黄斑の病変部にレーザーを照射する

以前はレーザー照射のみを行っていましたが、正常な組織にも影響が出ていました。この2段階の方法を取ることで、黄斑変性部に狙いを定めることができます。

そのため、正常な組織には大きな影響をおよぼすことなく、脈絡膜新生血管を狙い撃ちし、黄斑変性の進行を止めることがきます。

視力の低下や視野の狭まりもそれ以上進むことはありませんが、視力の改善はまだ万全ではないため、他の治療法との併用が必要。また、一度で終了するとは限りません。

加齢黄斑変性の一番の治療は予防にあり

一番の治療は、病気の予防をしっかりと行うことにあります。網膜に栄養を送っている脈絡膜に、異常な血管である脈絡膜新生血管が発生することが、加齢黄斑変性の始まりです。

こういった異常の発生を防ぐためには、次のような予防策をとってみましょう。

禁煙の効果

目への栄養や酸素素の供給は血管を通して行われます。喫煙は血流を悪くすることから、目の細い血管も栄養や酸素をうまく送ることができなくなり、網膜の視細胞や神経細胞が慢性的な栄養不足に陥ることに。

長い間の喫煙は、目の病気を引き起こす要因となります。喫煙者の加齢黄斑変性の発生率は、禁煙者よりもはるかに高いため、眼に異常を感じた時には、まず禁煙を考えてみましょう。

緑黄色野菜の効果

目の健康には、緑黄色野菜がよいとされています。それは、緑黄色野菜に含まれるビタミン類が活性化酸を抑える働きをするから。緑黄色野菜には、実際に加齢黄斑変性の発生を抑制するというデータもあります。

また、肉中心の食事から魚中心の食事に変えることも加齢黄斑変性の予防として大切なこと。毎日の食事には緑黄色野菜と魚を摂り入れることが予防と治療につながります。

有害な光から目を守る

青色光・紫外光対策も目の健康を守るうえで重要です。紫外線は目の角膜や水晶体を通過して、網膜や黄斑部まで到達し、ダメージを与えます。外出時にはUVカットの眼鏡をかけて目を保護しましょう。

また、ブルーライトも目の健康に悪影響を及ぼします。パソコンやスマホをさわる時間を減らし、ブルーライトカットのメガネなどで目を保護しましょう。

そのほか、紫外線のダメージを軽減するには、ルテインやアントシアニンなどの抗酸化酵素が効果的。日頃から、目によい栄養素を摂ることを心掛けることが大切です。

サプリメントの効果

緑黄色野菜に多く含まれる栄養素には、目によい抗酸化酵素がたくさん含まれています。しかし、一日に必要な摂取量を考えると、大量の野菜は食べられませんね。そこで、サプリメントとして摂るのもおすすめです。

目にいいとされているサプリメントとして、ルテインやアントシアニン、ゼアキサンチンなどは、加齢黄斑変性の予防に効果的と言われています。薬ではなく必要な栄養素をサプリメントで摂ることは、身体全体のアンチエイジング効果にも繋がり、老化が原因の黄斑変性には一番の治療法と言えるでしょう。

黄斑変性を早く発見して早期治療を

加齢黄斑変性には萎縮型と滲出型とがあり、その治療法にも違いがありました。萎縮型には効果的な治療法はありませんが、日頃から食生活に気をつけることが予防につながります。

また、滲出型は異常な血管(新生血管)を直接攻撃して退縮させる治療法があります。

滲出型は、異常が発生するとすぐに悪化するため、見え方に異常を感じたら、すぐに眼科医の診察を受けましょう。また、滲出型の治療法を受ける時は、どの治療法が一番適しているか医師と充分に相談をして決めることが大切です。

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