年齢とともに見えにくくなる病気の一つ、加齢黄斑変性。自分でチェックする方法を知らないと、いつの間にかこの病気になってしまい、下手をすると失明する危険性もあります。自分で加齢黄斑変性をチェックする方法を知っておきましょう。
加齢黄斑変性とは
加齢黄斑変性について、基本的な情報をまとめました。
黄斑とは
眼の奥の網膜には「黄斑」という、外からの光が当たる部分があります。物を見る仕組みは、目に入った光が水晶体を通りフィルムの役割がある網膜に到達することで、脳に伝わること。
光を受ける網膜の中心に「黄斑」はあります。文字や物の形や色など詳細なデータを認識する重要な部分と言えるでしょう。
加齢黄斑変性は黄斑の異常
この黄斑に異常が発生し、見え方に障害が起こるのが加齢黄斑変性です。「黄斑」は物の色や大きさ、形などを感じる大切な場所で、加齢性黄斑変性になると物が歪み、暗く見えるようになり視力も低下します。
放置すると緑内障などと並んで失明の原因になる病気です。根本的な治療法はまだ確立されていません。
加齢黄斑変性の種類と特徴
加齢黄斑変性には萎縮型と滲出型があり、日本人には滲出型が多いとされています。
滲出型は「新生血管型」とも呼ばれ、網膜の脈絡膜にもろくて破れやすい脈絡膜新生血管が発生し、この網膜の血管からの出血で起こるもので、急激に視力が低下するなど進行が早いのが特徴です。
委縮型は網膜の細胞が変性し、網膜色素上皮が委縮して目の中心部にダメージを与えます。加齢黄斑変性は、早期発見がとても大事になるので、自分でチェックする方法を知っておきましょう。
加齢黄斑変性が起こると
加齢黄斑変性が起こると、どのような異常が起こるのかをまとめました。また、それぞれのチェック方法もご紹介します。
中心部のゆがみ
黄斑に液体が溜まって、投影されたものの中心がゆがんで映ります。本を読んでいるときに、中心部が読みにくかったりぼやけたりしていないかをチェックしてみましょう。チェックは、片目ずつ行ってください。
まず片方の目を軽く手で覆い、片方の目で本を読んでみます。これを左右交互に繰り返し、本の中央部が歪んで見え、暗く感じたら黄斑変性症の可能性があるので注意が必要です。さらに詳しくチェックするために、方眼紙を用意します。(白い紙に、定規で1cm間隔の線を縦横に書いたものでもかまいません。)
方眼紙の中心部に黒丸を一つ書き、本のときと同様のチェックを行ってください。黒丸が暗く見えたり、線が歪んで見えたら、加齢性黄斑変性の疑いがあるので眼科を受診しましょう。
視力の低下
滲出型の加齢黄斑変性は、網膜下の血管に出血が起こり、著しい視力低下となります。突然ものが見えにくくなっていないか、急に視力が落ちていないかなど、老眼と決めつけずに日々チェックしてみましょう。加齢黄斑変性など目の病気の前兆かもしれません。
中心部の暗点
ものの中心部に黒いシミがついたような感じで見えるようになります。これは、黄斑がダメージを受けている部分だけ見えなくなるために起こる現象です。真っ白なものを見て黒い部分を感じたら、加齢黄斑変性の疑いが非常に高いといえます。
また「中心部のゆがみ」の項でご紹介したチェックで、中心部の黒丸が暗くぼやけて見える場合も、加齢黄斑変性の可能性が高いでしょう。
色覚の異常
黄斑変性を起こすと、視力だけでなく色覚にも異常を感じることがあります。色の感じ方に対しても、日々チェックをしてみましょう。
シートを使って黄斑変性をチェック
加齢黄斑変性を調べるために、チェックシートを使ってみましょう。
注意すべき症状一覧
以下のように見え方に違和感がある場合、加齢黄斑変性症の可能性があるので気をつけましょう。
- 変視症(縦にゆがむ)
- 変視症(横にゆがむ)
- 中心暗点
- 中心以外が欠ける
チェックシート
使い方
- コンタクトレンズやメガネはかけたまま、チェックシートから約30センチ離れます
- 片目ずつ、チェックシートの中央、黒い点を見つめます
- 線のぼやけ、中央部のゆがみ、部分的に欠けて見えないかを確認します
異常が見られた場合は、すみやかに眼科で診察を受けることをおすすめします。
眼科での検査
自身のチェックで異常を感じたら、眼科を受診しましょう。眼科ではどういう流れで検査が行われるのか主なものをご紹介します。
問診
問診では、症状や経過、家族歴、目の病気などの病気歴、喫煙の有無などが聞かれます。今後の治療方針の基本となるものです。
視力検査
視力検査表による視力のチェックです。決められた距離から視力検査表を片目ずつ見て、視力を測定します。
眼底検査
網膜を直接検査する方法です。網膜に光を当て黄斑変性の血管の様子、出血の状態などを観察します。
蛍光眼底造影
蛍光造影剤を、静脈から投与し、眼底の血管を眼底カメラで検査します。血管の位置や形、滲出の状況など、滲出型加齢黄斑変性の症状を見る検査です。
OCT(光干渉断層計)
新生血管の状態を検査するもので、網膜の脈絡膜などの層構造の断面を観察し、滲出や異常な新生血管の状態を検査します。
加齢黄斑変性の治療
滲出型加齢黄斑変性の場合、新生血管の発生や成長を抑える薬を目に注射する薬物治療や、軽いレーザーを照射して新生血管を閉塞させる治療や、凝固させる治療が行われます。
レーザー光凝固の場合には網膜も凝固されるため、照射部分は見えなくなるでしょう。
加齢黄斑変性は早い段階での対応が大切
加齢黄斑変性は気が付くのが難しい病気です。加齢や喫煙、遺伝が原因でかかるとされますが、該当する項目がある場合には注意しましょう。少しでも異常を感じたら、すぐに眼科を受診してください。
予防としては、紫外線やブルーライトなどの目に有害な光はなるべく避ける、症状などが現れない早い段階から、ルテインやアスタキサンチン、抗酸化ビタミンなどを意識して摂取するなどがあります。
また毎日の食事も大切。ルテインなどを多く含む緑黄色野菜などの食品をバランスよく摂りましょう。
加齢黄斑変性を防ぐには
加齢黄斑変性は、その名の通り年令を重ねることで発症しやすい病気ですので、日頃から予防を意識しましょう。
禁煙
喫煙者の方は、加齢黄斑変性の発症率が高いことがわかっています。喫煙している方は、禁煙も考えてみましょう。
食事
緑黄色野菜を多く摂ることで、加齢黄斑変性の発症が抑えられると考えられています。肉中心より、魚中心の食事のほうがよいとされているので、日々の食事で意識してみましょう。
サプリメント
ルテインやアスタキサンチンといった、目に良いとされるサプリメントを摂るのも、加齢黄斑変性を防ぐにはおすすめです。
早期発見と予防を心がけて
加齢黄斑変性は、目に異常を感じてからでは手遅れになる危険性もあります。「見え方がちょっとおかしい」と思ったら自分でチェックをして、異常を感じたらすぐに眼科医へ行きましょう。
症状が進むと、最悪の場合、失明の可能性もあります。自分だけで判断せず、専門家の意見をあおぎましょう。何より、日々の生活の中で予防を心がけることが重要です。