飛蚊症は、原因となる症状のタイプによって、治療方法に違いがあります。適切な治療を受けられるよう、タイプの違いをきちんと確認することが大切です。今回は、飛蚊症の治療方法についてご紹介します。
飛蚊症のタイプは3種類
飛蚊症は、症状の原因から、3つのタイプに分けられます。
1.生理的飛蚊症
2.後部硝子体剥離
3.網膜裂孔や網膜剥離
それぞれのタイプを詳しくみていくとともに、治療方法をご説明します。
1.生理的飛蚊症
ストレスや加齢から引き起こされる飛蚊症を、「生理的飛蚊症」といいます。生理的飛蚊症を発症した場合、特に治療はおこないません。
加齢が原因の場合は、老化現象の一環としてとらえるため、生活のなかで自然に慣れていくことが優先されます。また、ストレスが原因の場合も、運動や食生活の改善など、ストレスを溜めこまないことが大切です。
2.後部硝子体剥離
次に、「後部硝子体剥離」が原因で起こる飛蚊症についてみていきましょう。硝子体とは、眼球内にあるゼリー状の物質です。この物質が、老化により網膜から剝がれてしまうと、眼球内を飛ぶように動いてしまいます。
この症状を、後部硝子体剥離と呼び、飛蚊症の原因のひとつとされています。後部硝子体剥離も、老化現象のため、治療の必要はありません。
しかし、症状が進行することで、網膜剥離を起こすことがあります。このタイプの飛蚊症と診断された場合は、定期的に医師の診断を受けるなどして、経過観察をおこないましょう。
3.網膜裂孔や網膜剥離
「網膜裂孔」や「網膜剥離」による飛蚊症の場合は、早急な治療が必要です。まず、網膜裂孔からみていきましょう。
網膜裂孔はレーザー治療をおこなう
網膜と硝子体が、強く癒着(くっつく)すると、引っ張られた網膜が裂けて、穴があいてしまいます。これが、網膜裂孔です。網膜裂孔により血管が破れてしまうと、そこから出血し、飛蚊症を発症します。
網膜裂孔は、そのまま放っておくと網膜剥離を引き越す怖い病気。治療の方法には、レーザー治療が用いられ、穴があいた部分をくっつける手技がおこなわれます。
網膜剥離は手術で治療する
網膜剥離を起こした場合は、手術による治療がおこなわれます。網膜剥離とは、網膜が剝がれてしまう病気で、視界不良や視力低下のほか、最悪の場合、失明にまでいたることがあります。
治療でおこなわれる手術の方法は2種類。ひとつは、網膜にシリコンのスポンジを巻きつける「バックリング手術」。もうひとつは、硝子体そのものを除去する「硝子体手術」です。方法は剥離の状態や年齢などで決められるため、あらかじめ医師とコミュニケーションを取っておきましょう。
治療方法がないタイプには予防が大切
飛蚊症はそのタイプによって、治療方法に違いがあります。タイプによっては治療方法がないため、早いうちからの予防が大切です。眼の疲労蓄積や、ストレス、乱れがちな食生活は、飛蚊症の発症リスクを高めてしまいます。
食生活では、野菜などを多めに摂取するほか、ルテインなどの抗酸化物質を補給するのもおすすめ。将来にわたって眼の健康を維持できるよう、飛蚊症予防に取り組むようにしましょう。