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白内障の改善と手術方法について

白内障の改善と手術方法について

加齢が進むほどかかりやすくなる白内障。高齢になっても車の運転が必要だったり、仕事をしたりする場合なども増えてきています。避けては通れない白内障を改善する方法や、早期の回復が期待できる手術の方法についてご紹介します。

初期段階の白内障の治療

白内障は、初期段階では自覚症状がないことが多い病気です。初期の段階で視力が落ちますが、メガネやコンタクトで改善しない場合に、初めて眼科を受診して白内障と診断されるケースが多い状況。

初期の段階で白内障を発見できれば、点眼薬や内服薬で進行を遅らせることができます。しかし、それはあくまでも進行の抑制が主な目的になります。

進行した白内障の治療には手術が必要

日常生活に支障をきたすほどの白内障の場合、手術を検討しましょう。矯正視力が0.7以下になったら、医師と相談のうえ手術を検討した方がよいでしょう。

白内障を薬では治せない現状では、手術が唯一の治療方法です。

白内障の手術とは

白内障の手術は、実際にどのような方法で行われるのでしょうか。

超音波水晶体乳化吸引術

超音波水晶体乳化吸引術は最も一般的な白内障の手術方法で、白濁した水晶体の核を超音波を用いて乳化破砕して吸引、除去します。このため、傷口は小さくてすみ手術後の乱視もあまり問題になりません。

傷口の大きさは3~5mm程度ですが、眼にいれる眼内レンズの種類によって変更されることも。残した水晶体後嚢に眼内レンズを挿入します。

通常、10分~30分ほどで終了しますが、水晶体が固い場合は砕くのに時間がかかる場合も。

プレチョップ法

プレチョップ法は、超音波をかける前に核を小さく分割する方法。超音波をかける時間が短縮でき、目の組織を痛める可能性が減り、スムーズに乳化・吸引が可能になります。

また、傷口が3ミリ前後必要だったものが、1.8ミリからの傷口で手術が可能に。傷口の回復が早いため、術後の乱視や感染性の発生を抑えることができます。手術時間も片目で3~4分ほどに短縮。体への負担が少ない手術法です。

レーザー式新手術

レーザー式新手術は、従来は手術が難しかった特殊な場合や進行した白内障にも用いられる最新の手術法。

水晶体の核が超音波で砕くことが困難なほど硬くなっている場合や、角膜内細胞が少ない場合(手術の際、5~10%ほど減少するため)、水晶体を固定するチン小帯が弱くなっている場合などに使われます。

その特徴は、OCT(光干渉断層計)と呼ばれる装置により 目を正確に測定し、レーザーで前嚢に精密な正円を開けることが可能なこと。

ベテランの医師でも正円をつくるのは困難な作業なのです。正確な円を理想の位置に開けることは、眼内レンズのズレの防止に有効。最近注目される多焦点レンズの使用に最適の手術法です。

しかし、日本では、導入している施設が少ないのが現状です。費用もかかり、まだ一般的とは言えません。

白内障手術に使われる眼内レンズについて

白内障手術に使われている眼内レンズの寿命は半永久的。いったん眼のなかに入れてしまうと、交換する必要はありません。

そのため、眼内レンズを選ぶ時には、ご自身のライフスタイルや年齢に合ったものを選ぶことが大切です。それでは、眼内レンズの特徴についてご説明していきましょう。

単焦点眼内レンズ(保険適用)

単焦点眼内レンズは近くか遠くか、どちらか一方に焦点を合わせるレンズです。どのような度数の単焦点眼内レンズを入れても、眼鏡で調節すれば今までのように見ることができます。

眼鏡をかけない時に近くか遠くか、どちらを見えるようにしたいかという選択が必要になります。

例えば、もともと近視で近くは見えるが遠くが見えない方は、近くにピントを合わせる単焦点のレンズがおすすめ。手術前と同じように眼鏡を使って遠くを見ることになります。

多焦点眼内レンズ(保険適用外)

多焦点眼内レンズは、遠くも近くもどちらも見える遠近両用レンズ。手術後にできるだけ眼鏡なしで過ごしたい方にはおすすめ。

例えば、老眼の人でも多焦点眼内レンズを挿入した場合は眼鏡に頼らない生活、もしくは、眼鏡の使用頻度数を減らすことができます。

しかし、白内障以外の眼疾患を合併している場合は、多焦点眼内レンズを挿入しても効果が期待できない可能性もありますので、使用に関しては、眼科医と充分に話し合って決めることが大切です。

乱視矯正眼内レンズ(保険適用)

眼鏡のように乱視を矯正することができる眼内レンズです。海外では先進的な眼内レンズとして使用されていましたが、現在、日本でも他の眼内レンズと同じように手術が受けられようになりました。

白内障手術の時に乱視もいっしょに治せる画期的なレンズですが、このレンズが合っているか乱視の精密な検査が必要です。また、乱視があっても角膜の形状に問題がある場合はレンズが使用できないこともあります。

先進医療について

先進医療とは、厚生労働省が定める施設基準に適合した医療施設で行われたものに限られます。つまり、先進医療に認定された病院で手術を受けると、“先進医療にかかる費用”は自己負担となります。

費用的にも保険適用外のため高額になりますが、生命保険等の「先進医療特約」に加入されている方は、保険金給付の対象になるため保険金が給付されます。

多焦点眼内レンズをお考えの方は、ご加入されている生命保険会社に給付の有無について確認しておくことが大切です。

参照:厚生労働省ホームページ 先進医療の概要について

白内障手術で快適な毎日を

白内障の手術は、医療技術の向上により、無縫合手術で行われるなど体への負担が少なくなり、術後の早期の回復も期待できるようになりました。また、手術後に快適な生活をおくるには、ライフスタイルに合わせた眼内レンズ選びが大切です。

薬での治療が望めない白内障の治療は、手術が唯一の手段となりますので、目がかすんだり、ぼやけたり、光がまぶしく感じられたら、早めに眼科医での受診を心掛けましょう。

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