このエントリーをはてなブックマークに追加

白内障の治療薬について

白内障の治療薬について

白内障は、ほとんど加齢がきっかけで発症する病気。白内障手術による治療が一般的です。しかし、手術には不安や抵抗感もありますよね。白内障は薬で治すことは不可能なのでしょうか。白内障の薬の現状についてご紹介します。

白内障が治る目薬はない

目のレンズの役割をしている水晶体が白く濁る白内障。ものが2重に見えたり、視力が低下したりと日常生活に困ることも。その多くは加齢が原因で起こります。一度、水晶体が濁って白内障になると、薬でもとに戻すことは現状ではできません。

白内障の薬

初期の段階の白内障で日常生活に支障がない程度なら白内障の進行抑制と予防の目的で、下記の薬が病院で処方されています。

ピレノキシン

ピレノキシンは、タンパク質の変性を抑える作用がある点眼薬。白内障の進行を遅らせるために長期間使用することが多い薬です。

グルタチオン

グルタチオンは、抗酸化作用があり不溶性タンパク質の増加を抑える働きがある点眼薬。白内障の予防や進行を遅らせるために使用されます。角膜の傷の修復を助ける働きも。

チオプロニン

チオプロニンは、肝臓病に多く使われる薬で、肝臓の機能を守りタンパク質の合成を高める働きがある内服薬。白内障では、水晶体の白濁の進行抑制の目的で使用されます。

新しい白内障の薬

欧米で、医薬品として認可されて注目されているのが、「N-アセチルカルノシン」を配合した点眼薬。EUでは医薬品として認可されCEマークを取得。アメリカでは2010年に特許が承認されました。この薬は、白濁した水晶体の透過性を向上させ、白内障を治療することができると期待されています。

N-アセチルカルノシンとは

カルノシンとはアミノ酸の一種。活性酸素による酸化を防ぎ、酸化したものを還元する働きがあり人間の体内にも存在します。しかし、加齢によりカルノシンの生成量も減少。さらに酵素に弱く、分解されやすい成分です。ところが、ロシアで酵素に分解されにくいN-アセチルカルノシン点眼薬の開発に成功。N-アセチルカルノシン薬を点眼すると、目の中でカルノシンに変わり水晶体に直接作用して、強力な酸化防止剤として機能。水晶体の透過性を向上させる作用が確認されています。
ただし、日本では医薬品の認可がおりていないので、個人での輸入、または輸入業者からの購入でしか入手することはできません。あくまでも、自己責任での使用となります。

開発が待たれる白内障の薬

白内障は手術でしか治らないのが現状。しかし、術後の合併症や視力の低下などリスクがまったく無いわけではありません。患者の手術に対する精神的な負担もあるでしょう。高齢化が進む日本では、白内障の増加は避けられません。医療費の削減はもちろん、健康的な生活の維持のためにも白内障の改善・予防のための薬の一刻もはやい開発が望まれます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連する記事